素敵な夜はあなたと・・・
「お母さんは再婚しないの?」
茜は何気なく聞いたつもりだった。離婚した母親が再び幸せを掴むつもりでいるのだろうかと、その気持ちがあるのかを聞いてみたかったのかも知れない。
すると美佐は首を横に振った。茜の顔を見て微笑んではハッキリ応えた。
「お母さんはね、離婚してもお父さんが一番大事な人なのよ。」
笑顔で答える美佐に茜は信じたい気持ちでいっぱいになるが、二人は茜に隠れて会っていれば電話もかけている。かと言って、その事は茜には知らされていない。
いつも隠れた所で行われている。だから、美佐がどんなに光一を大事に想っているセリフを言ったところで茜には疑いの目でしか美佐を見れなかった。
「そうなの・・・・」
「茜、優也さんからさっき電話があったのよ。茜の居場所を知らないかって?今までどこに居たの?」
「交際している彼の家に泊まっていたの。」
「え?」
「このところ夜はあまり寝ていないから暫く眠らせて。」
茜は自分の部屋だったところへと向かった。美佐は彼の家へ泊っていたという茜の言葉は真実なのだろうかと優也に電話を掛けていた。
優也は美佐に問い詰められた。今、二人の仲はどうなっているのかを。
「茜には男がいるんだよ。それも、外泊するような男が。やっぱり君の娘だよな。」
元気のない声で優也はそう答えた。それを聞いた美佐は何故そんな事になったのか、優也の言葉も茜の言葉も信じられなかった。