素敵な夜はあなたと・・・

「黒木君が浮気したと言うのは本当か?」

「違うわよ。私が浮気したの。あの写真はお祖父ちゃんが取らせたんだってね。その彼とは深い仲なのよ。それで、どうしても結婚が辛くて別れたいって頼んだの。それに、もしかしたら妊娠してるかもしれないから。」

「それは黒木君の子じゃないのか?」

「有り得ないわよ。優也さんとはそんな関係じゃなかったから。あの人は私には良い父親だったわよ。だから、離婚しても良いでしょう?」


 茜の言葉に祖父はかなり渋ったが結局は離婚を認めた。

 そして、茜は優也を責めないで欲しいと頼んだ。これまで同様優也には同じ立場で仕事をさせて欲しいと茜は懇願していた。

 そんな茜を不憫に思った祖父は斎藤との縁を取り持つつもりで茜に話をした。しかし、茜はその斎藤とも将来を共にしたいとは思わないとハッキリ告げた。


「もし妊娠していたらシングルマザーになるわ。その覚悟はあるの。」


 茜は斎藤ともそんな行為はしていないのだから妊娠するわけもなく、言い逃れに使うのには丁度良いと思っただけだった。

 けれど、その一言で全てが決まってしまった。

 それから数日後、茜は会社の会長室へと出向き優也と一緒に離婚届に判を押した。祖父は二人を結婚させた責任者でもあり婚姻届けの証人でもある。


「必要なサインを書いたらこれは私から直ぐに届け出よう。黒木君、すまなかったね。」

「いいえ、これも全て私の不徳の致すところです。」


 三人での話し合いを終えると別々に会長室から出て行った。

< 172 / 174 >

この作品をシェア

pagetop