猫の湯~きみと離れていなければ~
「晃斗くんの彼女はこの子。わたしの大の仲良しのかえちゃんだよ」
わたしと腕を組んで笑っている髪の長い女の子を見せると、陽向は飛びついてきた。
「この子めっちゃ可愛いと思ってたんだよ」
「かえちゃんね、昨日メッセージくれてて『陽向くんに会えたらよろしく伝えてね』だって」
「は? 俺のこと話してたりしてたの? 」
ハンバーガーの最後の欠片を口の中に押し込んでいた陽向は、驚いたように顔をあげた。
「うん。ごめん、嫌だった? 」
「いいや、かえちゃんになら大歓迎だっ。ってか、ちょっとスマホ貸りてもいい? 」
「なにするの? 」
陽向はわたしからスマホを受けとると、自分のスマホと一緒になにやら操作をし始めた。
そして、
「これでやっと鈴とつながったーっ! 」
どうやら勝手にメッセージアプリに友達登録をしたみたいだった。
そしてわたしのスマホに
―― おかえり
のメッセージと一緒に、まんまるに太っている黒猫のスタンプが押された。
…ここにも黒猫。
なんとなくあの黒猫の副会長に似てるし。
でも、一番はじめの言葉が『おかえり』っていうのは、陽向はわたしを待っててくれたんだって思えてうれしくなってくる。
莉子には『どうして戻ってきたの? 』って言われたのに。
莉子の存在がやっぱり頭から離れてくれない。