猫の湯~きみと離れていなければ~

―― ただいま


わたしは気を取り直してメッセージを返すと、うさぎのスタンプを押した。

スタンプは押そうかどうか迷ったけど、やっぱり文字だけじゃ味気ないというか、少しは女の子らしいところをアピールしたかったし。



「目の前にいるのに、なんか変だな」

「そうだね」


わたしたちは顔を合わせると照れをごまかすように、クスクス笑いあった。



「そういえば陽向は猫が好きなんだってね。アイコンも猫なんだね」

「あー、これうちのお猫様なんだ」



陽向のアイコンは、はちわれ模様の白黒の猫だった。

まっすぐにカメラを見ている金色の瞳は宝石のようにきれいで、顔も副会長と違ってかなり美形に思える。


あれ?
わたし今、猫をきれいって思った?



そう考えていると、わたしのスマホが着信を知らせた。


「ごめん、ママからみたい」


陽向に断りをして電話に出た。
< 79 / 328 >

この作品をシェア

pagetop