猫の湯~きみと離れていなければ~
…子供のときの感覚
莉子のいう通りなんだね。
陽向はわたしのことをただの幼なじみとしてしか見ていない。
この気持ちを知られてしまったら、きっと陽向を困らすようになる。
「わたしね、好きな人がいるの」
虚しい嘘。
陽向を遠ざけるためついた嘘。
自分を守るためのバリケード。
「陽向の心遣いはうれしいけど、こーゆーので誤解されたくないの」
陽向は驚いたような、きょとんとした顔をしている。
もしかして伝わっていないの?
遠回しに言ったつもりはないんだけれど。
「誤解されて困るのは陽向も一緒でしょ? …わたし、先に本屋さんに行ってくるから」
わたしは言い逃げするようにエスカレーターをかけ上がって、陽向から離れた。