☆お見舞いに来てください☆

そんな予感が過り、少しハラハラした面持ちで彼を見てしまったけれど、中嶋さんはそんな私の心配をすぐに見抜いたようだ。


「安心して。そんなことはないよ。あれから何年かして一度は俺も所帯を持つことができたから」


中嶋さんが柔らかい表情のまますっと私から視線を前に移した。
「けどね」と続く言葉を残し、だけどその結婚も長くは続かず、5年足らずで終わりを迎えたのだと言った。

子供にも恵まれなかった彼はそれからずっと一人なのだとか。

「特にもう結婚願望はないかな」
なんて言った中嶋さんはすでに一人で生きていく心構えもできてるらしい。


「今思うとね。やっぱり僕にとって紗英ちゃんは誰より特別だったよ。彼女以上に好きだと思える人はいなかった」


そこまで母のことを思ってくれてたなんて驚きだ。けど素直に嬉しいとも思った。
母がこんなにも愛されてたという事実は娘としても誇らしい。


「未来ちゃんのことも本当の娘として受け入れようと思ってたよ」

「え……」


彼は再び私を見た。
優しげな視線は私をまたしても驚きに変える。
けど中嶋さんは躊躇うことなく言った。


「僕と紗英ちゃんと未来ちゃん、できれば3人で本当の家族になりたかった」と。
< 344 / 446 >

この作品をシェア

pagetop