☆お見舞いに来てください☆

だけどその時、私の鞄から携帯が鳴った。
はっと我に返りそれを手にすると、着信の相手は秀先生だった。

考える、ということはこの時できなかった。
少し震える手で気付けば通話を押していた。


「も、もしもし……」

「あ、未来ちゃん?」


先生の声が優しく届いたけど、私は無言のまま、少し遅れて「はい…」と生返事しか出来なかった。
そんな私に彼は「今どこ?」と付け加えた。


「…あ、と、今は三島先生のマンションに……」


荷物を取りに来てると告げると、先生は申し訳なさそうに謝った。


「ごめんね。迷惑をかけちゃって。俺ももう少ししたら行けると思うから」


先生も病院に来るんだ…
当然だけどそう言われた時、嫌な感情が押し寄せた。

来て欲しくない…
三島先生に会わせたくない。
何故だか強くそう思ってしまった。


「じゃあまたあとでね」

「…分かり、ました……」


電話はすぐに切れた。
悪いことをしたつもりはないのに声が震えた。
先生はそんなことは気にしてない様子だったけど。
きっと診療の合間だったのかもしれない。少し周りがバタついてた。
先生も急いでたように感じたから。
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