☆お見舞いに来てください☆

「……じゃあ、この際一つ図々しいお願いをしてもいいかしら?」


先生の視線がガッチリ私を固める。
何故か思い詰めたような感じに見え、綺麗な猫目型の瞳で直視されるとやっぱりどことなく緊張する。
何故かこの時嫌な直感が働いた。


「私に貸してくれないかしら?」

「え?」

「秀を。少しの間でいいの。秀を私に貸してくれない?」


見つめ合ったまま時が止められたような気がした。
先生の言葉を間近でしっかり聞いた筈なのに、その言葉の意味が理解出来ずに目が大きく見開いた。


「お願い、秀を貸して」

「なっ……」


思わず立ち上がり、ガタッとそのまま後ろに身を引いてしまう。
何を……
先生の発言に耳を疑った。何てことを言うのだろう。
パクパクと何も言えない変わりに唇だけが唖然と開く。


ーー先生を貸す?


「じょ、冗談きついですよ。こんな時に変なことをいうのはやめてください!」

「ごめん本気よ」


だけど三島先生はそう言った。
私の平常心を壊すかのように、今まで見たことがない真顔で鋭い目線を向け追い詰める。
< 377 / 446 >

この作品をシェア

pagetop