☆お見舞いに来てください☆

だけど、璃子はすぐに返事をすることが出来なかった。


「…あの……」

「仁科さん、できれば僕と……」

「副社長!」


その時、後方から声が遮られた。

それは璃子でも水嶋でもない中年の男性の声で、驚いた二人は同時に声のした方に振り返った。


「副社長探しましたよ!携帯も繋がらないし、社長がお呼びです!」


そう言ったのはきっと副社長の秘書的なものだろう。

いかにもビジッと賢そうな姿は初対面の璃子から見てもすぐにそうだと分かる。


「今後の方針について夕食を兼ねてじっくりお話ししたいとおっしゃっております」

「あ、そう……」


そう言った水嶋は困ったように再び璃子を見た。まさに消化不良と言わんばかりのやりきれない感じだった。


「すみません。もう行かないと、申し訳ないですがまた今度改めて会ってもらえますか?」

「えっ、あーー…」


璃子もまた困り顔で水嶋に言った。

はいと素直に言えない複雑な思いを抱えながら小さく頷いてみせると、水嶋がさらに断言するように言った。


「近いうちに必ず連絡しますから。絶対に会ってくださいね」


まるで璃子の戸惑いを見透かすように強く言い放ち、水嶋は名残惜しそうに背を向けた。

そんな水嶋の後ろ姿を困惑した気持ちで見送っていた璃子だけど…
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