あの日ぼくらが信じた物
「向こうは何を作るのかな」


「ウルフスカウトの名に懸けて、負けてはいられない。あきらはこの竹を縦に4分割しろ、いいか? こうしてな……」


 ぼくは父の示した見本通りにナタで竹を裂いていく。刃を食い込ませた後、コツンと切り株に当てるだけで面白いように割れるんだ。


「手に当てないように慎重にな」


「うん、解った」


 そして父が材料を組み上げると、みるみるうちに竹の長テーブルみたいな物が出来上がった。


「ほれ、あきら。そこの濡らした草を全部敷け」


「はい!」


「敷き終わったらその上に、掘った土を形良く平らに盛れ」


「イェッサーYes Sir.」


 次々と言われるままにぼくが動くと、その立てカマドは完成した。これは立った姿勢で火を弄れる優れ物のカマドだったんだ。


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