あの日ぼくらが信じた物
 派手な火の粉を撒き散らし、井桁に組んだ薪が崩れ落ちた。


「ワアッほら、綺麗!」


「本当だわねぇ」


 火の粉は炎の熱に巻き上げられて、風のない空の遥か高みまで一直線に舞い上がった。

 お互いのサイトでそれぞれ夕食を終え、ぼくらはキャンプファイアーに興じていた。

本当は明日の晩に、キャンプを締め括るメインイベントとしてやる筈だったんだけど、ぼくもみっちゃんも待ち切れなくて、結局今日も明日も2日共やることになった。

ぼくの作戦でみっちゃんが、例の小悪魔フェイスを駆使して父親2人を説き伏せたのは内緒だ。



  パチッ パチパチッ



 薪のはぜる音が、新たな火の粉を漆黒の空に解き放っていく。


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