あの日ぼくらが信じた物
「みっちゃん。ぼく……」


「いいのよあきらくん。無理して何か言わなくても! そりゃ私だってあきらくんと一緒に生きたかった。でも……」


 みっちゃんは少し間を置いてまた続けた。


「でも無理なのっ!」


 気丈に抑え付けていた感情の糸が切れたように彼女は泣き出した。

 ぼくもそんな彼女を抱きしめて泣いた。大声で、力一杯泣いたんだ。


「だから……だからあきらくんとの思い出を沢山作りたいの。

 そうすればあきらくんの記憶の中で、私は生きて行けるから」


 ひとしきり泣いた後でみっちゃんは言い、その言葉を聞いたぼくは更に涙が止まらなくなった。

石段に腰掛けている彼女の膝に顔をうずめ、いつまでも泣き続けていた。


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