あの日ぼくらが信じた物
「眩しい! みっちゃん……」


 瞬く間に光は小さくなり、今はぼうっと明滅を繰り返すだけになっている。


「駄目よあきらくん! 気を逸らしちゃ!」


「ごめん、みっちゃん。でも次こそ頑張るよ」


 そしてぼくらはもう一度試みた。

 石は小さな太陽みたいに輝き、発せられた光がベールのように柔らかく2人を包み込む。

その温かい静けさの中に居ると、このまま時間が止まってしまうかのよう。


  どっくん どっくん どっくん

  とくん とくん とっくん とっくん


 2人の鼓動は生きている証。次第にそれもシンクロしていく。

 そして繋いだ手と手がぼくらの知らない言語で会話を始めたその瞬間。


「おっ、おわぁぁぁあ」「きゃぁぁぁぁぁ」


 ジェットコースターのような浮遊感が2人の脳天を突き抜けた。


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