あの日ぼくらが信じた物
 その言葉とは裏腹に、彼女は切ない程に甘い声でぼくに囁く。

ぼくは早速彼女の唇を塞ぎ、壁際に追いやるとその胸をまさぐった。


「あきらくん、そんなに強くしたら痛い」


「ご、ごめん」


「優しく、して?」


 ぼくは興奮の絶頂に在った。そのまた更に上を表現する言葉が有るなら、是非ともそれを使いたい。

みっちゃんの「して」は違う意味のソレをも彷彿とさせ、ぼくの鼓膜は音波の振動を全身に伝播させる。その震えでぼくは、足も腰もガクガクと力が抜けてしまっていた。


「あ、あ……きら……くぅんん……ふっ、くぅ」


 みっちゃんの溜め息は更に切なさを増し、紅潮した頬はライティングがなされているかのように輝いて見える。


「みっちゃん。す、凄く綺麗だ」


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