あの日ぼくらが信じた物
「どれどれ? ほんとだ! 大きな花だねっ!」


 そんな彼女の心遣いを無にしない為に、ぼくも明るく返事をする。



───────



 そしてぼくらは、南の島を心行くまで楽しんだ。見たことも無い鳥や動物、信じられない程色鮮やかな草花。果物も千切っては食べ、もいでは啜る。

門限近くなる頃には、すっかりお腹一杯になっていた。


「あきらくん、もうそろそろ……」


 時計に目をやったみっちゃんが、済まなそうにぼくを見詰めた。


「うん、解った。帰ろう。

 ぼくもトイレ行きたくなったし、おっきい方」


「ヤダあきらくん、下品なんだからあ。フフフ」


「じゃあ行こう!」


「うん、楽しかった。チュッ」


 ぼくらは幸せ一杯で神社へ舞い戻った。


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