あの日ぼくらが信じた物
「そしてもうひとつ、大事な目的が有るの」


「なに? 教えて?」


「駄〜目っ、内緒」


 みっちゃんはとうとう秘密の内容を教えてくれなかった。

でもぼくは渋々バンクーバー行きを承諾したんだし、石も光らないに違いないと思っていたから、それをネタに聞き出すつもりだったんだ。



  ピカァァァァァア



 しかしそんな思惑に反して、ぼくらは涼風と呼ぶにはあまりにも冷た過ぎる風に吹き曝されていた。


「うひゃっ! 早くコートを着なきゃ、ほらみっちゃんも」


「有り難う。でも小さい頃の私は良く平気で居られたわね、こんなに寒いのに」


 ジャンプの時に感じる浮遊感にも少し慣れてきたぼくらは、すぐさま持参した防寒着に袖を通した。


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