あの日ぼくらが信じた物
 しかしそれはあくまで日本の、しかも関東の冬を越す為の機能しか無く、バンクーバーの風には些か力不足だった。


「ウルルルルル。み、み、みっちゃん。さぶ過ぎるるるるる」


「私も寒いっ! それとあきらくん」


「な、な、なんだいみっちゃん」


「私たち、着地地点を大きく外れてしまったみたい」


「ええぇぇぇっ?」


 バンクーバーだと思っていたそこは、ハリファックスという沿岸都市だという。


「私が小さい頃の事を思い浮かべてしまったからだわ?

 ここの大西洋海洋博物館に連れて来て貰ったのがあまりに楽しかったから」


 お婆ちゃんも含めた家族でやって来たというその思い出が、みっちゃんの頭を離れないんだという。


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