あの日ぼくらが信じた物
ぼくは割りと三枚目で、人から笑われるのは大して苦でもなかったから、実際もう何とも思っていなかったし、そんなことより鈴木さんとこうして話せたのが嬉しくて……。
「ほんとに? ありがとう、あきらくん」
【あきらくん】
【あきらくん】
【あきらくん】
彼女の唇からこぼれたその名前はぼくの耳から脳味噌に入り、グシャグシャに頭蓋骨内をかき回した後、身体中のくすぐったいところを全部刺激して……。
口に戻って出てきた。
「あ、あきらくん?」
そのまま彼女に返した声は、すっとんきょうに裏返る。
「ご近所でしょ? 固いことは言いっこなし! わたしのことは『みっちゃん』って呼んでねっ」
今まで見たことも無いような満面の笑みを向けてくる彼女は、太陽のように輝いている。ぼくはその顔をまともに見続けることが出来なかった。
「ほんとに? ありがとう、あきらくん」
【あきらくん】
【あきらくん】
【あきらくん】
彼女の唇からこぼれたその名前はぼくの耳から脳味噌に入り、グシャグシャに頭蓋骨内をかき回した後、身体中のくすぐったいところを全部刺激して……。
口に戻って出てきた。
「あ、あきらくん?」
そのまま彼女に返した声は、すっとんきょうに裏返る。
「ご近所でしょ? 固いことは言いっこなし! わたしのことは『みっちゃん』って呼んでねっ」
今まで見たことも無いような満面の笑みを向けてくる彼女は、太陽のように輝いている。ぼくはその顔をまともに見続けることが出来なかった。