あの日ぼくらが信じた物
 新興住宅地『バイオレットタウン』は、ぼくらの住んでいる一画に有ったガラス工場の跡地に建てられた。

区画ごと整備されたそれはぼくらが住んでいるちぐはぐな家並みとは違い、統一感の取れたかなりお洒落な物だった。

その計画を周囲の商店やスーパーは諸手を上げて歓迎したけど、ぼくらに取っては全くもって迷惑な話で……。

広大な空き地、格好の遊び場だったそこでもう遊べなくなるという『脅威』でしかなかった。

ぼくらは夜にこっそり忍び込んで大工さんの道具を隠したり、積んである木材にペンキをかけたりして、子供なりの(いや、かなり悪質な?)抵抗をした。

友達の松崎が危うく捕まりそうになり、ゲリラ活動には幕を降ろさなければいけなくなったけど、更にエスカレートして放火沙汰なんかになる前で、丁度良かったのかも知れない。


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