あの日ぼくらが信じた物
 それにみんなには悪いけど『バイオレットタウン』は鈴木さん、ううん? み、みっちゃんと友達になるきっかけをくれた、かけがえのない場所になった訳だ。



ある日の午後───────



「あきら、どこで遊んできたのよ! またキッタナイわね。タオル濡らして拭いてらっしゃい!」


 日本風の、釜が横についたタイプの浴槽が主流のこの時代、シャワーなんて洒落た物は当然無く、ぼくは泥だらけになった身体を濡れタオルで拭き上げた。


「でもなんで? 客でも来るの?」


 拭き終えたタオルを洗濯場に置きに行くと、いきなり後頭部を叩かれた。


  ペシッ!


「いでっ! 何すんだよ。暴力反対!」

「お客様がみえるとか、いらっしゃるって言いなさいよ、もうっ!」


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