あの日ぼくらが信じた物
「ううん? 高校に受かったのは確かにただの幸運だし、みっちゃんみたいな素敵な彼女に恵まれたのはもはやもう奇跡だし」

「有り難う。でも私も気を付ける。こんなんじゃあきらくんの思い出の中へもとどまれやしないもの。

 フフフ。楽しく生きなきゃ勿体ないしねっ、頂きまぁす」


 バナナボートにかぶりついて「ほんとこれ美味しい」と笑うみっちゃんは、儚く燃える命の炎を輝きに変え、より美しく咲いたようだった。



───────



「バンクーバー駅、バンクーバー駅」

「みっちゃんの故郷、みっちゃんの思い出」


 ぼくらは再び神社で願っていた。今度は防寒着への着替えも済ませて準備万端だ。


「おわぁぁぁあ」「きゃぁぁぁあ」


< 174 / 236 >

この作品をシェア

pagetop