あの日ぼくらが信じた物
「犬からしても魅力的なんですよ、奥さんは。ねぇ、鈴木さん?」


 母はすかさず父に歩み寄った。


「何余計なこと言ってんのっ! いやらしいっ!」バシッ!


 そしておもいっきり頭をはたいてたけど、ぼくもみっちゃんもその時は何がいやらしいのか全く見当が付かなかった。


「ダンディー、オチンチンの病気かしら。膿出てたけど」


 でもみっちゃんが言う『オチンチン』は、何故かぼくを凄く興奮させた。その衝動の正体は解らなかったけど。


「そ、そうだね。余り酷いようなら獣医さんに診て貰わなきゃ」


 ぼくはなんとかそう返してその場をやり過ごした。でもみっちゃんが言った2回の『オチンチン』はその日ぼくを寝かせてくれなかった。


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