あの日ぼくらが信じた物
 引っ越して来た始めは友達が居なかったみっちゃんも、もうこの頃にはクラスメイトの一員として普通にみんなと交わっていた。


「見た見た。あんな恥ずかしいことやらせて、ファンとして許せないわっ!」


 昨日のバラエティー番組で、彼女の好きなアイドルがやっていたコントについて力説するみっちゃん。

ぼくがこうして見ているのをわざと知らんぷりしている。

なのに時折視線を感じて振り向くと、慌てて目を逸らす。

彼女はこんな情けなくてスケベなぼくを嫌いになってしまったのかも知れない。

仕方ないよ。ぼくが悪いんだ。

けれどその日から、ぼくとみっちゃんは言葉を交わさなくなくなった。



時は過ぎ───────



 夏休みを前にした凄く晴れた日のこと。


「あきら、みっちゃんと喧嘩でもしたの?」


 母がいきなり聞いてきた。


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