あの日ぼくらが信じた物
 電気を点けてお気に入りの本を読む。いつもは何度読んでもわくわく出来るスペースレンジャーの話も、今日はちっとも面白くない。


「なんだかアシモフも飽きちゃったな」


 そう言いながら手に取った漫画も、少しもぼくを楽しませてはくれなかった。


「はぁっ! どうしてこんなになっちゃったんだろう」


 大きなため息をつくと、ぼくはタオルケットを被ってふて寝していた。



夕食時───────



「おおい、あきらぁ」


 ナイター中継を観ていた父がいきなり振り返って言う。ぼくは野球なんかにちっとも興味は無かったけれど、ウチでは大黒柱の父に絶対的な権限が有ったからそれが当たり前だったんだ。


「駄目だ、もう負けたな。好きなとこに変えていいぞ?」


< 43 / 236 >

この作品をシェア

pagetop