あの日ぼくらが信じた物

「へへへ、鈴木さんはね。もう少し頑張るから食時の準備をして待っててくれって！　だははははっ」


　全くもって悪い冗談だ。みっちゃんはまたそのまんまるい目に溢れんばかりの涙を溜めている。


「父ちゃんフザケんな！　みっちゃんを泣かすヤツはぼくが許さないからなっ！」


　ぼくは思いっきりジャンプして、父の尻にライダーキックをお見舞いしていた。


「解った！　俺が悪かったっ、助けてくれぇぇ」


　なおも追い回すぼくに笑いながら「もういいわよぉ」とみっちゃんは言うが、この時がぼくの「みっちゃんのナイトになる」と決めた瞬間だった。

結局あとからやってきたみっちゃんパパも、小魚を1匹釣っただけだったので、ぼくらは今日のメインディッシュを食べ損ねる事となる。