あの日ぼくらが信じた物
 そう確認した途端。昼間起こったあの出来事が鮮明に喚起されると共に、その時の感覚が全身によみがえってくる。

ぼくは激しく咳込みつつも、またオチンチンをカチコチにさせていた。

その変化を親に覚られないように、具合の悪い振りをしてテーブルに突っ伏したけど、えもいわれぬ罪悪感はちくちくと身体中に刺さっている。


「なんだか食欲なくなっちゃったから、お風呂先に入っていい?」


 昔気質ムカシカタギの父は「一番風呂は親父が入る物」と常々言っていたけど、さすがに今日はぼくの様子がおかしかったようで、それを譲ってくれた。


「ハァァァァァァァァ」


 ぼくは罪悪感でチクチクしていた身体を、隅々迄それこそ「これでもか」と洗って湯船に飛び込んだ。


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