あの日ぼくらが信じた物
 でもこれって、みっちゃんを『イヤラシイ目』で見ているって事じゃないか?

 ぼくの心に、みっちゃんのナイトになる事で払拭した筈の罪悪感がよみがえる。それはコポコポと音を立て、今にも沸騰しそうになっていた。

 人を好きになるってこういうのじゃない筈だ。みっちゃんはまだ子供だし、身体だって丸いどころか骨だらけだ。

 ついにはグラグラと沸き立っている心と反対に、すっかり冷めてしまった風呂から上がると、ぼくはバスタオルを被ったまま布団に潜り込んだ。


「あきら! 髪はちゃんと拭いたの? 湯冷めするからタオル被ったまんまじゃ駄目よ?」


 今日は余程疲れたんだろう、母のいつものお小言を子守唄に、ぼくは夢の世界へ落ちていった。


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