彼の瞳に独占されています
再就職に踏み出せない人も似たような気分なのかな……なんて、どうでもいいことをぼんやり思っていると、弥生ちゃんが心配そうに言う。


「でも、淳一さんに気持ちを伝えないままじゃ、新しい恋もできないんじゃないですか？」

「……うん、そのとーり」


大きく頷いてあっさりと認める私だけど、「でもね」と話を続ける。


「今まで薄っぺらい恋をたくさんしてきたから、このあたりでちょっと休憩もいいかなって思ってる。淳一に気持ちを伝えるかどうかは、その間に考えるよ」


これまで私は、早く淳一のことを友達として割り切りたくて、急いでいたのだと思う。

すぐにいいと思った人と付き合って、ダメになっての繰り返しで。もうこんなことをしても意味がないとわかったから、これからは自分の気持ちが進む方に、ゆっくり自然と身を任せたい。


「一度、全部リセットするわ。永瀬さんにもちゃんと言うつもり」


こんな私を本気で好きになってくれた彼には本当に申し訳ないけれど、私も真摯に向き合わなければ。

すっきりとした気分で話すと、弥生ちゃんの表情にも笑みが戻ってきた。


「そっか……。もう心に嘘つかないように、あんまり無理しないで恋してくださいね」


明るく気遣ってくれる彼女に、「はい」と素直に返事をして笑った。

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