彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「凛、この後、飯でも行くか?」
「う、うん・・・・」
「凛と一緒なら、気を使わなくていいからなぁ~」
頭をなでられ、笑いかけられて、微笑み返す。
(別に・・・すべてに、不満があるわけじゃない。)
『だましている』という気持ちはあるけど、現状が嫌だと言うわけでもない。
同性同士として触れ合えるし、可愛がってもらえる。
女の子だったら、こうはならなかった。
告白も・・・・成功したとは限らないから。
それを思えば、悪いと思いつつ、苦労しながら男装してる方がマシ。
なによりも――――――――――
(瑞希お兄ちゃんの側にいるには、男の子じゃなきゃいけなかった。彼が必要としたのは、男の『凛』。)
菅原凛じゃなくて、凛道蓮だったから手に入れられたい場所。
瑞希お兄ちゃんの隣。
「そういえば、凛・・・・学校はどうだ?」
「・・・普通ですよ。」
だから、知られてはいけない。
「普通って・・・ちゃんと友達と仲良くしてるか?テストが始まるんだろう?」
「問題ないです。勉強も、ついていけてます。」
バレないように、心配をかけないように。
「心配しなくても、大丈夫ですよ?」
瑞希お兄ちゃんに心配をかけないように嘘をつく。
「それよりも、瑞希お兄ちゃんの屋台のお手伝いが、ちゃんと出来るか心配です。」
知られたくないから笑ってごまかす。
追及されたくないから、何でもない顔をする。
「・・・安心しろ。ちゃんと教えてやるから。」
そんな私に、少しだけ悲しそうな目をする瑞希お兄ちゃん。
その目は、わかっている。
私が嘘をついていることに気づいてる。
気づいているけど・・・・
「教えてやるから・・・・なんかあれば、言うんだぞ?凛が、言いたくなったら言えよ?」
「・・・・もちろんです。」
私が言う気になるまで待つと・・・・遠まわしで言ってくれてる。
(ごめんね、瑞希お兄ちゃん。)
言うわけがない。
言いたくない。
知られたくない。
(好きな気持ちにも気づいてほしいけど、言えない。)
『今』の菅原凛を知られたくない。
恥ずかしくて、情けないから。
女子高生をしている『凛』のことは言えない。
あなたにとって、恋愛ってどんなもの?
僕にとっての恋愛は『ヒミツ』が多い。