彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
あなたにとって、『学校』はなにをしに行く場所?
私にとって学校は・・・・
「ない。」
カバンに入れたはずのお弁当がありません。
「ぷっぷー!」
「『ない』、だって!」
「菅原じゃなくて、馬鹿原だよなー?」
そんな私を見て、同じクラスの同級生たちが笑っています。
(またあいつらかよ・・・・・!)
それで無反応もよくないので、そっちを見ます。
「うっわ!ばい菌光線来る~」
「ファブレ!ファブレ!」
「クサーい!」
そう言って、離れた場所から私へ向け、ファブリーズを発射している男女。
「おい、やめろよ!」
「ルノアにまで、かかるだろう!ねぇ、ルノア?」
「飽きたから、食堂行こー」
私を馬鹿にしている仲間にそう言うと、前髪を軽く書き上げて立ち上がる女。
彼女は私を見ることなく、たくさんのお友達を引き連れて教室から出ていく。
去り際につぶやく。
「あーあ!やられるってわかってるのに、毎回弁当持ってくるとか、マゾじゃないの?捨てる方の身にもなれよ!」
(ヤッパリこいつか・・・・!)
その言葉でうつむきながら思う。
私の消えたお弁当を捨てたのはこいつらだ。
そして、どこに捨てられたかは、教室にやってきた大人によって知らされる。
「菅原さん、あなたどういうつもりです!?鯉のいる池に、自分のお弁当を投げ込んで?」
「違います、井谷先生。私じゃないです。」
「嘘はやめなさい!目撃者もいます。放課後、生徒指導室に来なさい。」
「嘘じゃないです。なので、放課後、うかがいます。」
「あきれた。本当に良い子ぶるのが上手ですね?」
いやみったらしく言って、担任の先生が出ていく。
その様子を見ていた他のクラスメートが、クスクス笑う。
もう一度うつむけば、カシャーンとシャッター音もした。
「泣いてる顔見えないんですけど、菅原さーん?」
「フッチーもリアル映像期待してんのに~」
「早く学校やめろよ、ブス!」
それで震える体を抑え、貴重品を持って教室から出た。
すぐに後ろから、爆笑が聞こえたけど振り返らない。
「見てよ~A組の地味子がまた1人だよ~」
「ぼっちじゃんか~ブスが暗い顔してると、空気悪くなるよな~」
「A組には悪いけど、教室から出ないでほしい~」
見知らぬ生徒達から、廊下を歩くだけでそう言われる。
何も悪いことはしてないに、嫌な思いをする。
私にとって学校は、我慢する場所なんです。