彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)


繰り返されるバランス運動。

前後左右へ・・・シートベルトをしていても激しくゆさぶられる身体。




(山道とはいえ、これはきつい!)



窓ガラスに顔を張り付かせながら、運転手に聞く。




「し、獅子島さん!これ、いつまで続・・・!?」

「凛道、北北東だ!」

「今いる位置がわかりませーん!!」





フワ~ドッスン!!




止まらない衝撃とツッコミ。



〔★リピートされている★〕



「凛道!」

「今度はどっちですかー!?」



痛さや怖さとムカつきもあって投げやりに答えたら。





「前かがみになれっ!」

「へ・・・・!?」



ギュアアア!!

パッパッパッパッ!!



正面から現れた対向車。





「みゃああああああああああ!?」

(死んだ!?即死!?)


「フン!おおげさだ。」




絶望した私の横で、彼は無表情で鼻を鳴らす。

そして獅子島さんは、ガードレールすれすれに走って、対向車の間すり抜けた。






ギュッワッ、ワッ、ワッ!




(ええええええええ!?)




絶対ダメだと思ったのに、通過した。




「す、すごい!?」




多少、ガードレールに乗り上げたけど、上手く隙間をぬって通った。





「すごい!すごいですよ、獅子島さん!!」

「瑞希の次にか?」

「はい!」



ぎゅぅううう~~~!


言った瞬間、ほっぺが片方だけのびた。



「そこは嘘でも、俺だと言え。」

「ご、ごぉめんらはぁーい!」




キラキラしながら言えば、ほっぺを引っ張られる。



「俺がどうすごいのかな、凛道?瑞希と比べてどうなのだ・・・!?」

「す、すびばぜん!すびばぜーん!獅子島さんが、一番ですぅー!!」

「わかればよし。」




〔★伊織の実力行使、凛はお世辞を覚えた★〕


< 131 / 715 >

この作品をシェア

pagetop