彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
初めてのことに、どうしていいか迷う。
そんな私に、少しだけ声のトーンを下げながら瑞希お兄ちゃんが言った。
「凛・・・もしかして、イヤなのか?」
「ええ!?なんでそうなるんです!?」
「いや、おびえ始めたからさ~」
「これは震えてるんです!!」
「やっぱり、怖がってんじゃんか。」
「違いまっす!!いい意味で感動の震えと言いますかぁ~~!」
ショボーンとした顔で聞かれ、首を横に振って否定する。
「そ、そこまで許可を頂けると思わなくて~~~!」
「へ?遠慮してんのか?」
「しちゃうでしょう!?」
「ははは!俺と凛の仲でってかー?謙虚な奴。」
「だ、だって!」
「おいで、凛。」
熱い顔で誤解を解いていたら言われた。
「俺の膝の上においで、凛。」
優しく、目じりを下げて、タオルを敷いた膝を叩く瑞希お兄ちゃん。
私に向ける甘い顔は、恋する乙女をノックアウトした。
「喜んで!!」
ピシャッと背筋を伸ばし、敬礼してから瑞希お兄ちゃんの膝の上に頭を置いた。
「はっはっはっ!軍隊かよぉ~?」
「えへ・・・だって・・・」
寝ころんだ私の頭を、よしよしと瑞希お兄ちゃんの手がなでてくれる。
(はわぁああああああああああ!これが膝枕・・・・!!)
漫画とかで見る膝枕。
ラブストーリーでは、かかすことのできない行為の1つ。
(ああ・・・瑞希お兄ちゃんの膝、固いようでやわらかい・・・ジーンズも瑞希お兄ちゃんのにおいがして・・・幸せ・・・!)
違和感なく、恋人同士がすることをしちゃうなんて!
(いいな!今の私達、彼氏彼女みたいでいいなぁ!!)
〔★男女の役割が逆転だ★〕
瑞希お兄ちゃんの膝の上で、緊張しつつも脱力していれば、彼がやさしい声で言った。
「ホントは、先に風呂入れてからの方がいいが、くらくらしてる時に湯に入れたらよくないからな・・・」
そう言って、私の髪についている汚れを、私の頭の下に敷いているタオルで拭いてくれる瑞希お兄ちゃん。
「凛が無事でよかった・・・・」
「僕もよかったです・・・」
(おかげで、瑞希お兄ちゃんの膝を占領できる・・・!)
〔★マスクの下はニヤついている★〕