彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



誤魔化す私をよそに、起き上がった私の隣で瑞希お兄ちゃんが言った。



「早かったな、伊織。てっきり、風呂に入った後に持ってくると思ったのによ~?」

「俺は親切だからな。受け取れ。」




そう語る手には、薬と水があった。



「サンキュー。ほら凛、飲め。」

「は、はい・・・」



獅子島さんにお礼を言うと、水の入ったグラスを手渡す瑞希お兄ちゃん。

それを受け取れば、彼の手が口の側に来た。

バンダナを引っ張って下ろした。



「え!?なにを!?」

「凛、あーん。」

「えっ!?」

「薬だよ、薬。口開けろ。」



隠していた部分をさらされただけでもびっくりなのに、バンダナを下げた理由を聞いてギョッとした。



「薬、口に・・・え!?」

「苦いかもしれねぇけど、我慢しろよ。飲ませてやるから、ほら。」

「えええ!?で、でも・・・・!?」



連続で起きるラブイベント。

これに参加しない手はないけど!



(嬉しいけど、獅子島さんが見てますよ!?)



私的な第三者の存在。



(他の人が見てる前で、そんな恥ずかしくも甘い行為をしようなんてぇ~~~!!)



これが世間で言う、『いけません!人が見ていますぅ!』なのね!?



〔★瑞希はプレイでしてるわけじゃない★〕




顔が赤くなるのを自覚しながら、チラッと眼鏡の先輩を見れば――――――



「気にするな。俺は気にしとらんから、やれ。」

「って、やれませんよ!なんで、カメラ構えてるんですか!!?」



なぜか、スマホをかざして私達を取っている。

ツッコミを兼ねて質問すれば、意地の悪顔でささやく。



「なぁ~に、円城寺辺りが逆らった場合の精神的ダメージに使え・・・いや、万が一の時にいろいろ使えそうだと思ってなる。」

「絶対にそれ、嫌がらせでしょう!!?」



〔★脅迫材料を作ろうとしている★〕




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