彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)
「凛、横になりな。薬が効いてくれば、気分もよくなるからな?」
「う、うん。」
(というか、瑞希お兄ちゃんがいれば、悪いものは全部消えるんだけどね・・・)
その証拠に、逆さの顔で覗き込まれ、胸やけが消えていく。
つくづく瑞希お兄ちゃんは万能だと思いながら、彼の膝の上へと頭を置いた。
そんな私達を見ながら獅子島さんは言う。
「瑞希、クッションはどうした?」
「皇助が引き裂いた。」
「だからと言って、お前が凛道に膝枕をしてやるほどか?」
「しゃーねぇーだろう?酔っちまってんだから、頭を高くして寝かせねぇと!」
「ふん、わざわざ膝にタオルを敷き、その上に凛道の頭を乗せた上で、凛道の髪についた汚れまで取ってやるとは・・・・どこまで愛情が深いのやら・・・」
眼鏡を直しながら呆れる獅子島さんの声が、私の優越感を高める。
だから、何を言われてもカチンと来ない。
「瑞希、それだと猿が毛づくろいをしてるようだぞ?」
「うっせー!オメーこそ、皇助と連絡取れたのかよ?」
「LINEでな。予定通り、俺は風呂へ行く。皇助が来たら教えろ。」
付き合いきれんとつぶやくと、私達から離れる獅子島さん。
「湯船でゆっくりせんと、わりにあわん疲れだ。」
「おい!凛もいるんだから、長湯はするなよ?」
「俺は待つのは好かん。早く出て、湯冷めをしたくないからな。」
「だからって、凛を待たせんなよ!さっさと出て来い!」
「凛道の良い具合からしても、あまり早く湯に入れん方がいいだろう。親切だろう?」
「自分で言う分には、親切じゃねぇーよ!」
「やれやれ、動物性脂肪の汚れは、落ちにくいから困る。」
「てっ、話聞け――――――――!?」
瑞希お兄ちゃんの言葉を無視すると、素早くお風呂場へと移動する獅子島さん。
〔★マイペースだ★〕