彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




「規則を守ったからといって、良いことばかりじゃないですよ?」



ルールを守らないことはいけないと思う。

でも、だからといって、それが正しいのかといえばそうとも思えない。


「真面目に校則を守って正直に生きてたって、良いことはありません。」



もしそうなら、私、いじめられてないもん。

だれかが、助けてくれるはずだもん。



(それがないってことは、規則なんて目安でしかないのよ・・・・)



「けっきょく、結果次第じゃないですか?僕は今の僕に満足してるので、瑞希お兄ちゃんが思うほど後悔してません。」

「凛。」

「僕がその答えを出すのは、きっと瑞希お兄ちゃんと同じ年になってからです。ゴールするための道が、整備された道なのか、獣道なのか、迷路なのか・・・それだけの違いですよ。」

「凛・・・」

「僕は僕が選んだこの道が好きなんです。瑞希お兄ちゃんに出会えて、一緒に生きて行けることが嬉しいです。」



お腹の上に置いていた手を伸ばす。

逆さで私をのぞき込んでいる彼の頬を、両手で優しいく包み込む。

自分でも、なんでこんなに大胆なことをしたのかわからないけど、気づいたら両手で触れていた。



「瑞希お兄ちゃんは、良くも悪くも僕のお手本なんです。だから、もっと堂々としてくださいね。」

「・・・・・・・ホント、凛は優しいな・・・・・・」



瑞希お兄ちゃんの両頬に触れていた私の両手に彼の手が重なる。

ゆっくりと目を閉じると、私のぬくもりを確かめるようにギュッと握る。



「俺、凛に愛されてるって思っていいのか?」

「・・・・愛してますよ。」

「そっか。」

「そうです。」

「俺も愛してる。」



そうつぶやいた時、彼の目が開いた。

真っ直ぐに、至近距離で見つめられる。



(うっ。)



直視できなくて、思わず目をそらす。

それで、私の手から彼の手も離れた。



「なに赤くなってんだよ、ばか?」

「だって・・・・」



恥ずかしくて、両手を彼の頬から離す。



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