彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



「熱いぞ?なに照れてんだ?」


(自分だって・・・・)





手を離す瞬間まで、感じていた体温。

温かかった。

そう言おうと思ったけどやめた。



(教えてあげない・・・・)



そんな思いで、自分の前髪を触る。

それで耳の赤い瑞希お兄ちゃんが言った。



「けっこう、髪にからんでるな?」

「え?」

「少し、落しとくか?」



赤みが引いてきた顔で言うと、別のタオルで私の髪を拭いてくれた。



「こうすれば、風呂で洗う時に楽だからな~」

「あ、ありがとうございます・・・!」



されるがまま、瑞希お兄ちゃんの膝の上で嬉しいサービスを受ける。



(あう~幸せ!瑞希お兄ちゃんの膝は、本当にあたたかいし、良いにおいがするし~)


「伊織の奴、さっさと出てこねぇかな~凛の髪がシェイクで固まってんじゃんか?」

「そんな、お気になさらず!」



このまま、獅子島さんが出てこなければいいなぁ~

のぼせてくれたらなおさらいい。



〔★ナチュラルに、ひどいことを言ってはいけない★〕




「僕は乗ってるだけでしたが、獅子島さんは運転もして神経を使って疲れたと思います。僕を守ってくれましたから。」

「そっか・・・凛は良い子だな。」

「えー瑞希お兄ちゃんの方が良い人ですよ!」

「ははは!ありがとよ。まったく、凛の素直さ、伊織に見習わせたいぜ。さっきも、つまらねぇー照れ隠ししやがってよ。」

「照れ隠し?」

「ああ。凛、伊織の大学に連れてかれたんじゃないのか?」

「え!?なんでそれを知ってるんですか!?まさか、エスパーですか!?」

「はは!その辺は、長年の付き合いだ。それにあいつ、通学用のカバン持ってたからさ~」

「そうでしたか・・・」

「驚いたか、伊織が大学生してるの?」

「それもですが・・・この国を掌握しようとしているような発言をしたことに驚いています。」

「ああ、うん。否定はしないわ。」



冗談で言ったのに真顔で肯定された。



〔★不安になる返事だ★〕


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