彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



『2代目』というキーワードでわかった。

守れなかった者、死なせてしまった者のことを考えている。

きっと彼は、一生、懺悔(ざんげ)していくんだろうけど・・・




(あなただけに、背負わせないから・・・・!!)



そんな思いで、ギュッと彼の手をにぎった。



「凛?」



これに、少し驚いた顔で私を見る瑞希お兄ちゃん。

その目を見つめながら聞いた。





「お兄ちゃんは?」

「あ?」

「・・・・・僕じゃ、嬉しくなれないですか・・・?」

「え?」

「僕ではまだ、足りませんか?2代目達みたいに、あなたを嬉しい気持ちに出来てませんか・・・・?」

「・・・。」



私の問いに、彼は一度口を開いて閉じる。

何か考えるように私を見る。

一瞬のことだったけど、長く感じた。




「嬉しいぜ。」




そう告げた口が、私の顔に近づく。




「凛と再会してから、毎日飽きないからな?楽しいぜ?」

「・・・・・お世辞ですか・・・・?」

「だったら、耳元で話しかけない。これは内緒話だ・・・・」



前かがみになっていた眼が笑う。

それを見て、泣きたいような変な気分になった。

思わず、両手を伸ばして、瑞希お兄ちゃんの頭を抱き込んだ。



「え!?凛!?」

「ずるい・・・・・・・・・!」



本音か嘘かわからない言葉。

見抜けないのは、彼がやさしく語りかけたから。




「・・・・なにがズルい、だ?俺、凛には公平だぜ?」

「だって・・・・」

「凛は凛のままでいいんだよ。他なんか気にしなくていい。俺が凛に望むのは――――――凛がつらくないことだ。生きてるのがつらくないように・・・・」

「・・・じゃあ、大丈夫です。瑞希お兄ちゃんがいるから、辛くないよ?」

「・・・・お前も、嘘つきだよな・・・」





その言葉で、彼が何か『嘘』をついたのだとわかる。

同時に、『私の嘘』が見破られているのも知る。



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