イケメン伯爵の契約結婚事情

「彼女は西の領土境の実家に戻った。しかし頼りの親の怒りを買い、山奥の別荘に追いやられていた。屋敷に出入りする使用人は最小限。お嬢様育ちが生活するには不便なものだ。彼女は言ったよ、『どうか私を助けて』と。だから私は金が必要だった。彼女が、何不自由なく子を産み、育て、生きていくために」


言葉を失っているフリードを横目に、アルベルトは自重するように笑う。


「しかし不自然な送金はすぐにバレる。カテリーナが気づいてな。もともと政略婚だ。彼女を実家に帰し、離婚を持ち掛けた。しかし彼女の親から返ってきたのは別の言葉だ。愛人の存在も認める、代わりに農園を保護してほしい、というね。……カマスを最初に栽培したのは私ではない。カテリーナの親だ」


それにはおそらく、デス・カマスも含まれるのだろう。しかし、アルベルトはそれをはっきりとは口に出さない。
注意深く、最後まで毒花の栽培について明言を避けている。


「だから私は自分の所有領への自治権が必要だった。カマス栽培を続けていれば金は潤沢に手に入る。このまま、補佐役として自分の所領を管理できれば問題なかった。兄上は、そういう意味では私にとって都合のいい領主だったんだ。……しかし、ある日、彼は私が密かに君の母親に援助していることと、毒花のことに気づいた。だから狩りに出るという日に罠を仕掛けたんだ。兄上は単純だからな。考え事があると必ずあの山に行く。先行きの従者に金を握らせて罠のところに誘導させたら一発だ」

「叔父上、あなたは!」

「これも自業自得だろう。従者は兄上より金をとった。味方に裏切られる程度の実力しかない兄上のせいでもあるのさ」


< 131 / 175 >

この作品をシェア

pagetop