奏 〜Fantasia for piano〜


九月末、北海道は秋に突入。

涼しい風が頬を撫で、山の方は紅葉が始まっているらしい。

けれども、私を含めたうちのクラスは、夏のように熱く燃えている。

文化祭は昨日の土曜日から始まり、今日は二日目の最終日。

奏は予想通りアコールにバイトを入れていて、でも私がマスターに文化祭があると言ったせいで、バイトはキャンセルとなった。

奏に睨まれたけど、今の私はそれくらいじゃへこたれない。


「奏、オレンジジュースひとつと、アイスコーヒーふたつ、ショートケーキ三つね」


制服の上に青いエプロンを着て、青で装飾された教室内を動き回り、お客さんからの注文をパーテーションで区切ったバックヤードに伝えた。

「はい……」とテンションの低い返事をされ、奏からやる気は感じられなくても、作業は早かった。

一分足らずで私のトレーに、ケーキとドリンクが見た目美しく用意され、他のクラスメイト達も感心している。


「香月って、手際いいよな。慣れてるって感じ」


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