奏 〜Fantasia for piano〜
アコールでバイトしているから、慣れているという感想は正解だ。
でもクラス男子の「なんで?」という問いかけに、奏は「別に、普通だと思うけど」と答えただけで、バイトのことを話そうとしない。
だから私が代わりに答える。
「奏はね、喫茶店でバイトしてるんだよ。
だからこういう作業は慣れてるの」
言った途端にジロリと睨まれる。
そんな顔しても、謝らないよ。
だってほら、クラス男子が奏に興味を示して、もっと話しかけてくれる。
「へぇ、なんて店? 学校のそば?」
「今度行ってやるから、サービスしろよ」
もっとクラスメイトと会話してほしい。
友達を作って、高校生活を楽しんでよ。
そんな迷惑そうな顔をしないで。
奏と視線をぶつけ合ってから、お客さんのところへ。
注文の品を提供し、他のテーブルでまた注文を聞き……と、結構忙しい。
でももうすぐ交代の時間だ。
クラス三十人を四つのグループに分け、二時間交代にしているから、私ももうすぐ他の模擬店を楽しんだり、ステージ発表を観に行くことができる。