奏 〜Fantasia for piano〜
それから数分後、次のグループのクラスメイトが教室に戻ってきて、店番を交代した。
青いエプロンを脱いで、梨奈に渡す。
「じゃあ、よろしくね」と手を振ろうとしたら、宏哉に待ったをかけられた。
「なんで俺と綾、別グループなんだよ〜。
グループ分けした奴、誰だよ」
それは……文化祭係の私です。
わざと宏哉と別にしたわけじゃなく、出席番号順で分けただけ。
私と奏が一緒なのは……そこだけ、ちょっぴりズルしてしまったけど。
宏哉の文句を「仕方ないでしょ」のひと言で片付けて、「頑張ってね」と梨奈に後を託して、バックヤードを覗き込んだ。
あれ? 奏がいない。
中にいる男子に「奏は?」と問いかけると、廊下を指差される。
「とっくに出てった」
そんな……。
約束してるわけじゃないけど、私の計画ではこれから一緒に他の模擬店回りをする予定なのに。
急いで捜さないと!
後ろに「あんな奴、構うなって」という宏哉の声が聞こえたけど、返事もせずに私は教室を飛び出した。
廊下は人がごった返しているので、簡単には見つかりそうにない。
奏を捜してうろうろし、この階にはいないようなので一階に下りた。
靴箱に外履があったので、帰ってはいない。
前にお昼を一緒に食べた体育準備室かと覗いてみたけど、いなかった。
「もう、どこに隠れてるのよ……」