奏 〜Fantasia for piano〜

「プーランクもたくさんの名曲を残してくれた巨匠だよな〜」と常連客がしみじみ語ったとき、「お待たせしました」と奏がカフェラテを出してくれた。


今日のラテアートは、ハニワの絵。

え、なんでハニワ?

そのチョイスの意味は分からないが、人型のハニワの口元が笑っているので、奏の機嫌がいいという証拠だ。


それを見て、切り出すのは今だ!と話しかけた。


「ねぇ奏、来月の文化の日に音楽祭があるんだけどーー」


梨奈のフルートと、私のピアノのデュオ。

半月ほどの短期間で仕上げる自信がないから、ピアノを教えてほしいと頼んだ。

すると「自信がないなら断れば? 俺は教えない」とキッパリ断られてしまった。

しかも背を向けられて、今やらなくてもよさそうな食器棚の掃除を始めているし、話しかけるなオーラを醸し出している。


奏にピアノを弾かせる作戦、早くも失敗か……。

しょんぼりと肩を落とした私を見て、マスターと常連客が加勢してくれた。


「香月くん、教えてあげなよ。
綾ちゃんは彼女だろ?」

「そうだよ。優しくしないと振られちゃうぞ?
おじさん、綾ちゃんの悲しい顔見たくないな〜。教えてやってほしいな〜」


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