奏 〜Fantasia for piano〜
この話を学校じゃなく、アコールでしたのは正解だった。
寄ってたかって説得してくれて、ついに奏がしぶしぶ「分かった」と引き受けてくれた。
「奏、ありがとう! すっごく嬉しい!」
これで奏にピアノを弾かせることができるかもしれないと、心の中でほくそ笑んでいたら、マスターに聞かれる。
「で、なんの曲を演奏するんだい?」
曲目はまだ決まっていない。
梨奈が探しておくと言ってたけど、なるべく早く決めないと、練習時間がなくなってしまう。
「なにかいい曲ありませんか?」と聞き返したら、少し考えてからマスターがポンと手の平を打った。
「綾ちゃん、今レッスンでプーランクの曲を弾いてるんだろ? プーランクで『フルートとピアノのためのソナタ』という曲があるよ。
CD持ってるから、ちょっと待っててな」
さすがクラシック好きのマスターは頼りになる。
奥の部屋から探してきたCDを早速かけてくれると……うっ、無理かも。
冒頭からピアノの速いパッセージが続き、ソロの部分まである。
フルートパートも音が多くて難しそう。