奏 〜Fantasia for piano〜
粋で都会的というのがピンとこないけど、強弱をハッキリさせて見る。
すると今度は「やりすぎ」と言われてしまった。
「それは粋じゃなくクサイだけ。
この曲はドビュッシー晩年の『管楽器のためのソナタ』に連なる作品にしようとして、プーランクは書いたんだよ。第二楽章は直前に作曲していたオペラのアリアにも近い。
フランス的で、でもドイツ派を否定しているわけでもないこの構成。そういうのを意識して弾いてよ。
バッハみたいに正しすぎなくていいけど、カンティレーナだから叙情的に、モーツァルトよりはテンポを揺らして」
奏の言葉が外国語のように聞こえてしまうのは、全く理解できないから。
第二楽章を選んだ理由は、第一楽章よりもゆったりして音も少なく弾きやすそうだったから。
でも実は、第二楽章こそが難曲なの⁉︎
「もう、全然分かんない!
奏、弾いてみてよ。言葉で説明されてもムリ。
右手を使いたくないなら、左手だけでもいいから」
弾かせようという企みからの発言ではなく、衝動的に叫ぶように言ってしまった。
立ち上がり、奏の腕を引っ張って、強制的にピアノの椅子に座らせた。