恋のルール教えて下さい ~憧れの課長と大人の恋~
彼は、何度も気後れする私を励まして、とうとう部屋の前まで連れてきた。
散歩を渋った犬のような私を、根気よくなだめて連れて来るという、技量は大したものだ。
「引っ越したばかりだからね。期待してくれるほどではないと思うけど」
「男性の部屋に入るっていう期待なら、十分膨らんでるわ。
だって、一人暮らしの男性の部屋って初めてだもの」
「本当に?」
「えっと。なので、期待しないで欲しいの」
「何を?」
「えっと。色々と。きっと物珍しくてジロジロ見てしまうかもしれないし」
「気にしてるのは、そんなこと?」
「いいえ。そんな事じゃない」
「だったら、同じだよ。期待され過ぎると外れる」
路線は違うけど、私の住んでるところより会社に近い所に葛城さんは住んでいる。
ILDKのマンションだった。
私が住んでいる部屋より広い。家具も実用的な物ばかりだけど。
「期待するほどって、まさか。葛城さんのものなら何でも素敵です。
何でもない家具でも、ここで生活してるんだとか。割りとシンプルな部屋に住んでるんだなあとか。
分かって嬉しいことばかりです」
「そう?俺も、君がどんな反応してくれるのか、そればっかりで。幻滅する暇なんかないよ。こっちへおいで」
私は、恐くないわと首を振ってそばに行く。