ロストマーブルズ
「リル、ジョーイが好きなのね。はっきりと自分の感情を表せるあなたが羨ましい」

 キノは落ち着いていたが、何かをふっきりたいかのようにいきなり眼鏡を外し、そしてリルを見つめた。

「それじゃ私も言っちゃおうかな。ジョーイが大好きって」

 キノが言った言葉はリルだけじゃなくジョーイをも驚かせた。

 そしてキノもリルも引けを取らずに向き合った。
 二人はバチバチと火花を散らせ合う。

「お、おい。ちょっとなんだこの状況は。俺を、からかって遊んでいるのか!?」

 とんでもない展開になったとジョーイは慌てていた。

 リルは刺激されてまた大胆な行動に走り、ジョーイの腕を取りしがみ付いた。

 キノはそれを面白がり、ジョーイの反対側に回り込んで同じように腕を取って抱きしめた。
 ジョーイは二人の女の子に両腕を取られながら学校の門をくぐることになってしまった。

「おい、二人とも一体どうしたんだ」

 リルが仏頂面で競り合うのに対し、キノはあたかも楽しいとばかりにはしゃいでいた。

 だが目の前にシアーズが現れると、キノはジョーイの腕を解き放した。
< 208 / 320 >

この作品をシェア

pagetop