ロストマーブルズ
「それが、急なことでアメリカに帰ったって担任が言ってたらしい」

「なんだって? それは本当か」

「だから私も今、白鷺先生に訊きに行こうとしてたの。あの人、なんだかキノのことに詳しいの。昨日も忘れ物取りに教室に戻った時、キノが困ることを教えてくれたし」

「キノが困ること?」

「うん、家に遊びに行きたいって言ってごらんって、絶対嫌がるからって」

「なんでキノの嫌がることをリルに教えたんだ」

「私がキノのことライバルって言ったら、それならいいこと教えてあげるって言われた。でも白鷺先生、キノのこと嫌いなのかな」

 それに関してはジョーイも感ずるところがあった。

「とにかく、白鷺先生を探してみよう」

 職員室に向かい、その辺に居た先生を捕まえて居場所を聞くと、さっき駐車場に向かっているのを見たと言われ、すぐにそこに走って行った。

 駐車場は校舎の裏側にあり、昼間は人気があまりない。

 そのため、無造作に停まっている車の隣で、眞子が立って話しをしている姿は、とても目立っていた。

 その車の運転席に居る男もはっきりと見え、ジョーイは息を飲み、素早くリルを引っ張っては、駐車している車の陰に身を隠した。
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