伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
婚約者として雇い、少しずつ距離を縮める。彼女の決意はすぐには変わらなさそうなので、ゆっくりでいいから、自分の身分や立場を気にしなくなってくれたらいい。
仕事上、その役が必要などとは、単なる口実に過ぎなかったが、彼女はその理由を受け入れてくれた。
それからクレアと一つ屋根の下で暮らすようになり、ライルも彼女の存在に癒されていった。
一人で店を切り盛りしているので、しっかりした面もあるが、男女のことついては初心者そのもので、少し近付くだけで頬を染める。その姿も可愛いと思う。
それに何事にも一生懸命なところにも惹かれていた。この二ヶ月で、クレアは見違えるほど美しくなり、淑女らしくなった。
外で働いているが、他に異性の影はなく、この自分が彼女に一番近い男なのだという自信がライルにはあった。
手離したくない。これが恋だと自覚していたが、迫って逃げられてはこれまで我慢してきた甲斐がない。クレアのペースに合わせて、関係を進めていこうと思っていた。
だが、クレアとアンドリューを探しに庭に出た時、遠目に二人が一緒にいるのを見てしまった。
手を握っているが、何か真剣な話をしているような様子で、特別な間柄という感じではなかった。
それなのに、歩きながらライルの胸の中はざわついた。
そして、クレアがつまずいて、アンドリューに抱き止められた。クレアがアンドリューの顔を見上げて微笑むのを見て、自然とライルの足の運びが速くなった。
相手が自分だったら、目を合わす前にクレアは視線をそらしてうつむいてしまうのに。
気に入らなかった。
それは執着ではなく、明らかに嫉妬だった。
クレアを部屋に連れ込んで、自由を奪い、濃厚な口付けを繰り返す。
こんなことをして、どうなるというのだ。
分かっているのに。
独占欲と嫉妬に身も心も支配される。
内側から渇いて、充たされない。
キスだけでは足りない。
……もっとだ、もっと--
仕事上、その役が必要などとは、単なる口実に過ぎなかったが、彼女はその理由を受け入れてくれた。
それからクレアと一つ屋根の下で暮らすようになり、ライルも彼女の存在に癒されていった。
一人で店を切り盛りしているので、しっかりした面もあるが、男女のことついては初心者そのもので、少し近付くだけで頬を染める。その姿も可愛いと思う。
それに何事にも一生懸命なところにも惹かれていた。この二ヶ月で、クレアは見違えるほど美しくなり、淑女らしくなった。
外で働いているが、他に異性の影はなく、この自分が彼女に一番近い男なのだという自信がライルにはあった。
手離したくない。これが恋だと自覚していたが、迫って逃げられてはこれまで我慢してきた甲斐がない。クレアのペースに合わせて、関係を進めていこうと思っていた。
だが、クレアとアンドリューを探しに庭に出た時、遠目に二人が一緒にいるのを見てしまった。
手を握っているが、何か真剣な話をしているような様子で、特別な間柄という感じではなかった。
それなのに、歩きながらライルの胸の中はざわついた。
そして、クレアがつまずいて、アンドリューに抱き止められた。クレアがアンドリューの顔を見上げて微笑むのを見て、自然とライルの足の運びが速くなった。
相手が自分だったら、目を合わす前にクレアは視線をそらしてうつむいてしまうのに。
気に入らなかった。
それは執着ではなく、明らかに嫉妬だった。
クレアを部屋に連れ込んで、自由を奪い、濃厚な口付けを繰り返す。
こんなことをして、どうなるというのだ。
分かっているのに。
独占欲と嫉妬に身も心も支配される。
内側から渇いて、充たされない。
キスだけでは足りない。
……もっとだ、もっと--