伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
その後も、ライルは知り合いの貴族や紳士などに次々と声を掛けられ、度々歩みを止めることになった。クレアもその都度、初めまして、と同じ自己紹介を繰り返す。
そうしているうちに、開演時間が近付き、席へ向かう客が増えていく。
クレアはライルに連れられるまま、大階段へと足を運んだ。
階段を上り切ると、数人の案内係がそれぞれ、客を指定の席へと誘導しているのが見えた。ライルとクレアも、そのうちの一人に案内され、赤い絨毯が敷き詰められた明るい通路を進む。
やがて、「こちらでございます」と、案内係が一つのドアを開けた。こじんまりとした部屋の中、コートや帽子を掛けられるポールハンガーと、一人用の小さなソファーが設置されていて、控え室のようだった。
そして、その向こう側は、カーテンのような、真紅の垂れ幕で仕切られている。
案内係が静かにドアを閉めて退出し、二人きりになると、ライルが奥の垂れ幕を開けた。
上質なビロード張りの椅子が二脚、こちらに背を向けて並べて置かれているのが見える。
どうやら、そこが自分達に用意された席のようだ。
クレアも近付くと--
……すごい……!
一気に視界が開け、クレアは息を呑んだ。
劇場内部を一望出来る場所--バルコニーのように前にせり出した場所に自分は立っていた。
美しい天使の絵が緻密に描かれた高い天井、そして宝石の塊のように、まばゆい光を放つ巨大なシャンデリア。
豪奢な装飾と、赤と金色で統一された客席。
クレアは手すり部分に手を掛け、そっと下を覗き込んだ。
真下には、一面に客席が広がり、開演を待ちわびて着席している人々の頭が無数に見え、その前方には、幕の下ろされたまま舞台がある。
そうしているうちに、開演時間が近付き、席へ向かう客が増えていく。
クレアはライルに連れられるまま、大階段へと足を運んだ。
階段を上り切ると、数人の案内係がそれぞれ、客を指定の席へと誘導しているのが見えた。ライルとクレアも、そのうちの一人に案内され、赤い絨毯が敷き詰められた明るい通路を進む。
やがて、「こちらでございます」と、案内係が一つのドアを開けた。こじんまりとした部屋の中、コートや帽子を掛けられるポールハンガーと、一人用の小さなソファーが設置されていて、控え室のようだった。
そして、その向こう側は、カーテンのような、真紅の垂れ幕で仕切られている。
案内係が静かにドアを閉めて退出し、二人きりになると、ライルが奥の垂れ幕を開けた。
上質なビロード張りの椅子が二脚、こちらに背を向けて並べて置かれているのが見える。
どうやら、そこが自分達に用意された席のようだ。
クレアも近付くと--
……すごい……!
一気に視界が開け、クレアは息を呑んだ。
劇場内部を一望出来る場所--バルコニーのように前にせり出した場所に自分は立っていた。
美しい天使の絵が緻密に描かれた高い天井、そして宝石の塊のように、まばゆい光を放つ巨大なシャンデリア。
豪奢な装飾と、赤と金色で統一された客席。
クレアは手すり部分に手を掛け、そっと下を覗き込んだ。
真下には、一面に客席が広がり、開演を待ちわびて着席している人々の頭が無数に見え、その前方には、幕の下ろされたまま舞台がある。