伯爵と雇われ花嫁の偽装婚約
……高さがこんなに……初めてだわ……!
クレアは視線を上げて、ぐるりと辺りを見渡した。上にも客席はあって、この劇場は三層構造になっているらしく、自分は今、二階部分の客席にいることが分かった。
前方は開けているが、席の両側は壁で遮られているので、隣の客の姿は見えない。まるで半分だけ個室になっているような感覚がした。
……やっぱり芝居小屋とは比べ物にならないわ……。何て、絢爛な世界なの……!
クレアは見る物全てが珍しく、すっかり興奮してしまい、キョロキョロと視線を動かす。
「気に入ってくれたみたいだね?」
後ろから声が掛かり、クレアはハッとした。振り返ると、ライルが長い足を組んで椅子に座っていて、クレアの様子を優しい眼差しで見つめている。
……私ってば、つい、子供みたいに、はしゃいじゃって……!
落ち着きが無い、とライルに思われたかもしれない、とクレアは恥ずかしそうに下を向いて、おずおずと席に着いた。
「ごめんなさい……私、淑女らしくありませんでしたね」
「いや、そんな意味で言ったんじゃないんだ。素直に喜ぶ君が可愛くてね。そんなに固くならなくていいよ」
「はい……ありがとうございます……。連れてきて下さって、すごく嬉しいです」
「俺もだよ。君と一緒に来て良かった」
微笑むクレアの手に、ライルの手が重なった。
徐々に照明が薄暗くなり、それがまもなく開演の合図だと知った観客達のざわめきも、次第に鎮まっていく。幕が上がり、舞台から明るい照明がこぼれ出た。クレアは瞬時に、日常とは異なるきらびやかな世界に、引き込まれていった。
クレアは視線を上げて、ぐるりと辺りを見渡した。上にも客席はあって、この劇場は三層構造になっているらしく、自分は今、二階部分の客席にいることが分かった。
前方は開けているが、席の両側は壁で遮られているので、隣の客の姿は見えない。まるで半分だけ個室になっているような感覚がした。
……やっぱり芝居小屋とは比べ物にならないわ……。何て、絢爛な世界なの……!
クレアは見る物全てが珍しく、すっかり興奮してしまい、キョロキョロと視線を動かす。
「気に入ってくれたみたいだね?」
後ろから声が掛かり、クレアはハッとした。振り返ると、ライルが長い足を組んで椅子に座っていて、クレアの様子を優しい眼差しで見つめている。
……私ってば、つい、子供みたいに、はしゃいじゃって……!
落ち着きが無い、とライルに思われたかもしれない、とクレアは恥ずかしそうに下を向いて、おずおずと席に着いた。
「ごめんなさい……私、淑女らしくありませんでしたね」
「いや、そんな意味で言ったんじゃないんだ。素直に喜ぶ君が可愛くてね。そんなに固くならなくていいよ」
「はい……ありがとうございます……。連れてきて下さって、すごく嬉しいです」
「俺もだよ。君と一緒に来て良かった」
微笑むクレアの手に、ライルの手が重なった。
徐々に照明が薄暗くなり、それがまもなく開演の合図だと知った観客達のざわめきも、次第に鎮まっていく。幕が上がり、舞台から明るい照明がこぼれ出た。クレアは瞬時に、日常とは異なるきらびやかな世界に、引き込まれていった。